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2006年04月 アーカイブ

2006年04月09日

Service Information --- TMC Report #0010

トップマネジメント・カフェ レポート (第10回)

経済評論家の奥村宏先生が語るエンロン、ライブドア、そして「株式会社」とそのあり方。

okumura_5.jpg第10回目のトップマネジメント・カフェは那須塩原温泉の「松屋」にて開催されました。講師は、ジャーナリスト、大学教授を経て、現在経済評論家としてご活躍の奥村宏先生。ご専門は、これまであまり日本では語られてこなかった「株式会社論」です。資本主義経済の中にあって、株式会社は今までどうあったか、近・現代株式会社制度がもたらしてきた功罪、そしてこれから株式会社はどうあるべきか。エンロンとライブドアの問題を例に、私たちの疑問に一つの手がかりを示していただくべく、セミナーはスタートしました。

近代株式会社制度が確立したのは、19世紀後半。準則主義、株主主権、株主平等、資本多数決といった株式会社の原則がこの時期に作られました。当初は限られた大株主がイニシアチブを取る個人株主経営が主体でしたが、19世紀末から20世紀に入るころには、事業の大規模化、株主の分散化によって経営者の力が強くなりました。しかし今度は、アメリカでは70年代に入ると、年金基金などの機関投資家の力が強くなったのです。一方日本では、会社や銀行に株が集まって、法人資本主義ともいえる現象が成立します。

discussion0010.jpgそういった状況の中、日本では複数の会社が株を持ち合うことによって、安定株主工作が行われてきたのです。しかしバブル崩壊後、そのような日本的制度は失速し、それに変わって株主に力を持たせる「アメリカ的株主資本主義」を導入すべきである、といった論説が幅をきかせます。しかし、これは実体のない空論・幻想でした。
自己資本の不足、連結決算、株の持ち合い制度などを抱えてきた日本的株式制度にとっては、アメリカ的制度は意味をなしません。

hirakawa0010.jpgこのような自己矛盾の中で登場したのがライブドアの堀江氏が行ったような時価総額経営という手法です。これは規制緩和の隙間をぬって短期的な利益を重視し、株式分割、M&Aなどによって株価のつり上げを図り、株主の利益(つまりライブドアの例では、経営者でもある堀江氏ら大株主)を重視したやり方です。しかし、この手法はエンロンの倒産、ライブドアの粉飾決算という結末を生み、いまや「株式会社という制度」において、大きな問題を抱えています。
結論として、株式会社という存在を、総体的に議論すべきだということです。日本では株式会社制度に対しての危機意識が欠如しており、ライブドア問題に関しても、この事件がどういう事件であったか、何が問題であったかということに関して明確な分析が見られません。ホリエモンの経営手腕に対しての評価とバッシングが混沌としている状態です。
しかし、株式会社という制度の危機を、短期的利益のみを求めがちの機関投資家に任せることも、個人投資家に株を分散することでも解決はできません。もちろん、破綻してしまった社会主義を肯定することも不可能な現在、これからどのような経済制度を構築すべきか、という命題はまだ答えを見つけられていません。

inquiry0010.jpgご講演の後には質疑の時間が設けられ、日ごろ経営者の皆さまが感じておられる「株式会社」の現状と矛盾についてさまざまな意見・質問が出されました。
食事・休憩を挟んでの質疑応答では、経営の現場からの意見によって先生の株式会社論がより明確になり、白熱した意見交換に。

matsuya2.jpg今回は、那須塩原温泉のお宿、松屋でした。ゆったりとしたロビーと、部屋の大きな窓から眺める景色は最高。露天風呂で温まり、おいしい食事に舌鼓。きめ細やかなサービスも好評の宿でした。

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