Service Information --- TMC Report #0009
■トップマネジメント・カフェ レポート (第9回)■
第9回トップマネジメント・カフェを開催。ストレス心理学の分野で独特の研究を展開する小杉正太郎先生が、職場のストレス管理とパフォーマンスアップについて説いてくださいました。
2006年1月28日、熱海温泉の「三平荘」にて、第9回のトップマネジメント・カフェ(TMC)を開催しました。数々の企業の従業員に対しカウンセリングを行ってきた早稲田大学文学部心理学教室の小杉氏が、従業員のストレスと職務遂行効率の関係について説明してくださいました。いま最も重要なのは、適応障害に陥った従業員のケアと平行して、健全な従業員をメンタル面でサポートし、パフォーマンスをいかに最大化していくかという課題だそうです。カウンセラーの立場から見た企業内の現実と対処方法を、膨大なデータをもとに説明してくださいました。
ビジネスカフェジャパン代表取締役の平川より、開会の挨拶と今回のテーマ設定についての説明がありました。
職場ストレスのコントロール術の専門家である小杉先生。近著「社内うつ」(講談社)が好評です。
精神病の領域にある「うつ病」とは違い、社内うつは「適応障害の軽度な状態」と定義されます。適応障害とはストレス因のあるときに強い苦痛を自覚し、不安と抑うつが高まる結果、社会的機能が低下する状態。マネージャーは、日頃消沈しているスタッフの存在に気づいたとき、うつ病なのか社内うつなのかを区別して考える必要があります。うつ病か社内うつかを診断するツールも普及しつつあるそうです。
「社内うつ」の人は社内に原因がありますから、職場外でははつらつとしています。本来重要であることに集中できずに、大事ではないことには熱中するという人がいますが、社内うつはまさにそういう現象の一つです。どんな人が「社内うつ」になりやすいか、克服できる人はどいうう人か。またどういう職場、どういう職種や経歴の人が「社内うつ」となるストレス要因を持っているかを、実際のデータで示してくれました。研究開発型の職種、プロジェクトチーム型の職場は、業務内容や裁量権にまつわるストレス要因が多いようです。階層型の組織やスタッフ系では仕事量がストレスとなることが多いようです。また中途採用者に社内うつが多いそうです。

「社内うつ」は病気ではありませんから、ストレスとなっている要因がなくなれば治ります。人によって対処(コーピング)の方法に違いがありますが、内に溜め込まずに積極的にストレス因の除去に取組む人には深刻な「社内うつ」が少ないことが分かっています。組織としては、業務効率が低いままの状態や離職を避けるためにも、適切なソーシャルサポートが必要になります。気分転換の場を就業中に作ったり、ストレスチェックの実施、カウンセリングの機会、また配属などの人事施策へのフィードバックといったサポート方法があり、段階的な対応法が研究されています。そういったサポートを第三者的に専門に行う業者も増えてきており、人事部自らが手がけるよりも効果を上げています。
大半の人は「社内うつ」ではなく健全な状態にあります。組織は、この人たちにいかに積極的に仕事に取組んでもらうかも、精神的側面から工夫すべきだと提案しています。「自分の意図でこの仕事をしているんだ」と思わせること、すなわち「ジョブ・エンゲージメント」という状態を作り出すことが重要です。やはり「仕事を任せる」ということが最良のやりかただと小杉氏は締めくくりました。
今回は、緑に囲まれた和風建築の宿、熱海温泉の「三平荘」を会場に選びました。温泉宿ひしめく熱海で、昔からのスタイルを守り続けた宿の設備ともてなしに、参加者の日常のストレスもすっかり癒されたようです。
