Service Information --- TMC Report #0003
■トップマネジメント・カフェ レポート (第3回)■
第3回トップマネジメント・カフェを開催。 甲谷勝人氏が、HPウェイとサイバーシルクロード八王子での取り組みを語ってくれました。
産-産連携が地域を変える!!
2004年2月28日、信州・渋温泉「金具屋」で、第3回のトップマネジメント・カフェ(TMC)を開催いたしました。信州の奥深い渋温泉に建つ歴史の宿「金具屋」まで足を運びました。日本HPの沿革を通じた日米企業経営の対比と、HPウェイを参考にした地域産業活性化手法をご披露いただきました。
講義の前半は、HPウェイがテーマです。1939年、シリコンバレーのベンチャー第一号として誕生したHP。米国での成長ストーリーののち、1960年代の日本市場進出の話に展開します。当時、高周波検査機市場で米国企業に遅れをとっていた横河電気が合弁パートナーとなりました。横河電気出身の甲谷氏は1966年から営業に携わり、横河HPとHPアジアパシフィックの躍進を牽引しました。技術偏重の日本企業の経営が、米国企業から得るものは大きかったと語ります。
本体である米HPは1980年代も躍進を続けますが、1990年代に入りインターネット戦略の遅れで成長の鈍化に悩むことになり、長いトンネルの時代に入ります。
1999年、Lucent Technologyからカーリー・フィオリーナがCEOに招かれ、HPをコンピュータ企業と計測器企業に分割します。甲谷氏は計測器会社としてのAgilent Technologiesを率いました。一方、コンピュータ部門は、Compaqを合併し新生HPとして復活しました。企業分割でカーリー・フィオリーナが目指したのは、市場に対する誠実さと機敏さという、創業者ヒューレット氏が志した創業の精神と共通するものがあったのです。甲谷氏は米企業HPの変遷を通じ、日本の企業経営が学び取るべきものを感じ取ってきました。
食事で場が和むと、質問も単刀直入に本質を突いてきます。 講義の後半は、HPの機敏な経営センスを地域産業振興に活かそうというものです。彼は八王子市の産官が首謀する「サイバーシルクロード八王子」のリーダとして、ものづくり系の産業育成に尽力しています。彼の主張は、主役は企業であり、「産-産連携」を促進することが鍵だとしています。八王子には大学などが多く立地しますが、産学連携よりも企業間連携を優先する諸施策を推進し、成果を上げ始めています。
「日系VS外資」と「地域産業振興」の議論は尽きることなく、館内のバーに場所を移し、深夜まで続きました。
今回の会場は、宿場で馬具を作る鍛冶屋が土砂災害で崩壊したときに温泉が湧き出て、それ以来旅館業に転向したという「金具屋」。9代目西山和樹氏(左)が歴史を解説してくれました。

1999年夏に発売した缶コーヒー「FIRE」。開発当時のことを思い出しながら、当時の熱い取組みを丁寧に語っていきます。
まず、缶コーヒーのユーザーの定量分析結果の紹介。毎日2本以上飲むヘビーユーザーはユーザー全体の15%。この15%が、需要の70%を消費しています。人口にすると630万人。そこへ向けての商品作りが始まりました。そして、今飲んでいる銘柄からの「ブランド・スイッチ」を起こさせるだけの商品差別性の開拓が至上命題になりました。
当時WONDAがタイガー・ウッズのCMで市場の話題をさらっていました。FIREのCMタレント選びは最後の最後までもめたそうです。CMソングを書かないスティービー・ワンダー氏を説得して起用。同氏がCMソングを完成させた後、撮影所に来訪するシーンの紹介は感動モノでした。
18:30より夕食会場で、昼間のセミナー後半の話題となった「社長論」について熱い思いの交換が行われました。参加者もご自身の経営経験を題材に、それぞれの考え方を披露します。でもやはり「社長でしょ、社長が決めなきゃ誰が決めるんですか?組織では重要事項は決められませんよ!」のコメントには一同納得させられました。FIREの開発ストーリーには「ルールを変えろ、会社を変えろ!」とありましたが、阿部氏は「大企業も社長次第で変わる!」のまさに証人です。
セミナーの後半は、社運を賭けた商品開発プロジェクトに社長自らがどう接するか、「社長の立ち位置」についての質問が出、以降は社長の役割の議論になりました。阿部氏は、(1)風通しがよいフラットな組織にし、それを持続させること、(2)重要な決定事項のみに関わり、先送りせず決定を下すこと、(3)トップセールスで成果を上げること、の3つであると断言しました。FIREの開発においても、重要な場面以外はプロジェクトメンバーに任せて見守っていたそうです。
二次会は会場を変えて、阿部氏を中心に参加者が膝を突き合わせて経営論を語り通しました。今回はとことん「和風」の空間で時間を過ごし、日本文化の中に溶け込んだ1日でした。
冒頭、会場となった「環翠楼」の番頭の小松様より、築85年になる当館についての説明と、館内見学が行われました。 「環翠楼」の歴史、建築材料としての木の性能の高さ、自然からの素材のみに囲まれるように作られてきた日本建築の素晴らしさなどを披露してくれました。